
ことばの栞
ログアウトボーナス
ゆっきゅん
2025.12.20.
日記。走り書き。
谷中、日本橋、代々木。
*
朝、Voicyで法華経の序品を聴く。
妙に懐かしい感覚。
午後は法源寺東京別院へ行くのだ。
南アルプスの宿坊に泊まったのは何年前だったか。
古民家をイノベーションした宿で、夜は住職特製のもつ鍋をいただいた。
酔い覚ましに皆でコンビニまでコーヒーを買いに歩いた時間を思い出す。
12月の夜は、暗くて、寒くて、気持ちよかった。
なんて贅沢なんだろう。
朝、30分かけて、お経を聴く。
出勤前に通っていたテンプルモーニングは、
ほとんど、いのちをつなぐ、みたいな時間だった。
私は誰でもなく、他の人も誰でもない。
仏教に惹かれていく。
その余韻で日々をがんばっていた。
*
今日は好きに過ごす。
先日、久しぶりにちんとぼを観た。
無音の風景や時間に、ご無沙汰の脳が動いた。
職員の方の話を聞きながら、自分の今を思い返した。
未婚で子どもを持たないことがこの仕事にどう影響するのか。
実習先の先生からもらった言葉を思い出す。
ちんとぼの映像作品が好きで、毎回更新を楽しみにしていた。
自然に、聞いて、感じて、考えることのできる時間。
数日前、眠れずにゆきふらしさんの映像を観返した。
いただいた小皿や一輪挿しをさわってみる。
*
2016年夏、初めての青森ひとり旅。
五所川原、金木、弘前。
それからリゾートしらかみに乗って青池。
くまげらの大きな窓を眺めながらシードル。青だけの空と海。
先を決めずに仕事を辞めた解放感がぴったりの青だった。
ゆっきゅんの「ログアウトボーナス」を聞くと、この旅を思い出す。
いつだって、「誰にも何も思われたくない」。
太宰治疎開の家に、ゆきふらしさんの作品はあったが、当時は知らなかった。
縁が巡り、こうして作品が手元にあることが不思議だ。
*
2025年冬、ゆきふらしさんのマグカップがほしい。
オフホワイトの雪模様のマグ。オンラインショップはSold out。
いま必要なのは、常時戦闘態勢の私にふれる、優しいもの。
インスタを見ると、谷中で出品中のお知らせ。
青森とイタリアの手仕事品を取り揃えた雑貨店coccia。
マグがあるか問い合わせると、写真付きの丁寧な返信。
行くしかない。
*
青森のことを考えながら、
来月あたりから始まるだろうか、
とエリさんのnoteを見た。
本の出版報告があり、オンラインストアをのぞく。
近くの書店で買うのは難しそうだ。
ふたたびnoteに戻り、日本橋で写真展をしているとのお知らせ。
なんと。本も置いているかもしれない。
行くしかない。
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Coccia@谷中
店長の女性は十和田市出身。
青森が好きと伝えると、いろいろ話をしてくれた。
ゆきふらしさんの作品はすべて素敵だった。
お皿もタンブラーもかわいく、迷ったが、今はマグだ。
店内を見ていると、陶のイヤリングに一目惚れ。
アクセサリーに一目惚れなんてそうない。そもそもほとんど買わない。
まるい形に、エメラルドグリーンのような淡い、でも存在感のある色味。
どこの作家さんかと尋ねると、
「ゆきふらしさんですよ!本当にお好きなんですね」
え、すごい。これをつけて青森に行きたい。
レジ横には、青森のりんごで作ったジュースの数々。
「御所川原」という五所川原市のりんごを使ったジュースも発見。
レアな真っ赤な品種で酸味が強いらしく、迷わず購入。
来月はチャリティー企画があり、
売上の一部を「公益社団法人青森県母子寡婦福祉連合会」に寄付するとのこと。
是非来たいところだけど、来月はきっと難しい。
必ずまた来よう。
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誠品生活@日本橋
売場は広くないけれど、出会いやすい書店。
(それは危険なことでもある)
写真がどこにあるのかわからず、書店員さんに尋ねる。
「この展示のために来てくださったんですか?」
「私、冬のりんご園の写真が好きで、毎日癒されてるんです」
と、案内してくれる。既に、来てよかった。
私も雪の写真に惹かれた。
そしてやはり、書籍『ある、りんご園の一年』も並んでいた。
本屋さんで手に取れる喜び。
窓際のちょっとしたスペースに座る。
そういえば、陸前高田レインボーハウスの、
本棚の後ろにある隠れスペースとそっくり。
ここで本を読んでいると、お城にいるみたいな気分になる。
店内に陳列された本が見える。そこから私の姿は見えない。
レジに向かうと、先ほどの店員さん。
「時雨出版さん、環境のことも考えて紙を使ってるんです」
「もう一冊出ているZINEもとってもいいんですよ」
と、売り場から『最初に読む料理本』を持って来てくれる。
時雨出版のサイトで見て、良さそうだと思っていた、と伝えると、
綺麗に包まれたビニールを破き、本を取り出してくれた。
「ぱらぱらしてみてください、全然、買わなくて大丈夫なので」
その対応に感動してしまう。
手に取った瞬間、紙の手ざわりが優しかった。
「さわり心地が最高です」と言うと、
ですよね!と言われ、泣きそうになる。
ここにある本たちは愛されている。
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法源寺東京別院。
法華経講座。第一回。
『漢和對照 妙法蓮華経』を持参した。
大事にしている、いただきもの。賢治が使っていた赤本。
表紙もかわいい。法華歌集も載っている。
講座はすごく楽しかった。ずっと楽しかった。
住職にも数年ぶりに会えてとても嬉しかった。
仏教に惹かれたのは、ご縁をいただいたお坊さんたちが魅力的だったから。
仏教に自由を感じたし、一切皆苦、と言ってくれることが心強かった。
帰宅後、法華経をめぐるひとり旅を思い出して、noteを読み返す。
今も変わらず、法華経は不思議な存在であり、知りたいと思うお経。
*
数年前にタイムスリップしたような日だった。
今は、出会いたかったものに出会い、一目惚れしたまま進んでいる。
知るほどに冷めるなんてことなく、どこまでも深く行けそうな気がする。
同時に、何かを失っているのかもしれない、とも思う。
学業の世界に戻ると、
優劣の世界から抜け出せないことを思い知る。
自分より他人と戦おうとする。
自分と他人を比較する。
20年以上前から変わっていない。
負けず嫌いは、優秀でありたいということ。
うんざり。その物差しに自分で苦しむ。
できる、できない、の分別。
それが嫌いなのは、放っておくと自分がそうなるからか。
次に就く仕事は、少しそこから離れて、
奥のほうの自分でいられるような気がしている。
そして、この夏、それは間違ってなさそうだと感じた。
それとも、数年後も変われずにいるのだろうか。
*
走り書きのまま、今日を残す。
思い返せるように。
12.8.のことは書かずに残す。
そのまま思い返せるように。

*出典 ゆっきゅん「ログアウトボーナス」より
