だから清の墓は小日向の養源寺にある。

夏目漱石『坊っちゃん』

 

気もちの描写のない、そっけない最後の一文。
主人公と清がふたりで重ねてきたものがここで結ばれる。

無償の愛を坊っちゃんにそそぎ続けた清と、
ぶっきらぼうな物言いでまっすぐ受け止めてきた主人公。

「御墓のなかで坊っちゃんの来るのを楽しみに待っております」
そう言って亡くなった清は、墓で会えることを少しも疑わなかったろう。

今のいのちの後のことでも、
こころをつなぐ約束になり希望となることもある。

タイトル『坊っちゃん』は、清だけがつかった呼び名。

 

 

(このふたりを想うとき、太宰治とたけのことをおもいだす)

 

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*出典 夏目漱石『坊っちゃん』より